『Get in touch!』@六本木ヒルズ「umu」2012/12/3-9

『Get in touch!』@六本木ヒルズ「umu」、「他者と違う」という才能の祭典

 

2012/12/3-9

他人と違うということは、考え方ひとつでアドバンテージにもなるし、ハンディキャップにもなる。もちろん、人それぞれに環境は違うので、一概に論じることは乱暴になってしまうが、「違い」を積極的に見せていくこと、「違い」を受け入れることで、より豊かな体験ができるのではないだろうか。

会場風景

12月4日から9日まで、六本木ヒルズ「umu」で開催されるイベント『Get in touch!』に先立ち、開催前日となる12月3日にイベント旗振り役の東ちづるらによる記者発表が行われた。『Get in touch!』は、自閉症をはじめとした、さまざまな理由で社会から遠ざけられている人たちの創作活動を通じて、「ちがうことの素晴らしさ」を伝えることを主旨としたイベント。東日本大震災をきっかけに、マイノリティな団体で活動してきた者たちが結集して昨年からスタートし、今回で2回目の開催となる。期間中は『モナリザ』をテーマに描かれた70点の絵画を展示する『マイ・モナリザ展』や、バリアフリーロックバンドとして活動する「サルサガムテープ」などによる音楽ライブ、各種ワークショップが行われる予定だ。

サルサガムテープ&東ちづる

「『支援してください』とか、『正しい知識を』と言うのは、もう違うなと思いつつやってきた。大切なのは排除しないこと、楽しく一緒に寄り添うこと。そのためにアートや音楽をツールとして使いたい」と話した東。その言葉通り、400を超える応募の中から選ばれたという『マイ・モナリザ展』は、東も「『なんじゃこりゃ!?』みたいなモナリザが揃っていて、ハートを鷲掴みにされる」と話すほど、自由なアイデアを楽しむことができる作品でいっぱいだ。なかでも田口隆子(福山六方学園)によるモナリザは、遠くから見ると激しいエネルギーが渦巻き、近くで見てみると繊細なモナリザの表情が浮かび上がる不思議な作品で、思わず関係者に「有名な作家も混じってるんですか?」と確認してしまったほど。聞けば彼女が前回出品した作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチゆかりの地であるフランス・クロリュセ城のオーナーが気に入り、特別賞を受賞。同作品は今展でも特別出展として展示されているので必見だ。


田口隆子 特別出展『マイモナリザ』

また、記者会見の前には、サルサガムテープによる演奏も行われ、ジョン・レノンの名曲“Imagine”の日本語バージョン(オリジナルは忌野清志郎)が披露された。メンバーは18年前からバンドを率いる発起人・かしわ哲や、元THE BLUE HEARTSのドラマーである梶原徹也、そしてバンド名の通りバケツの口にガムテープを貼っただけの太鼓を叩く者まで総勢25人。忌野清志郎が生前「ロックンロールの原点」と評したアンサンブルは笑顔と生気に満ち溢れ、演奏後には集まった記者たちから自然と拍手が沸き起こった。

サルサガムテープ

「メンバーたちは感性豊かで、心のままにプリミティブな音楽を奏でる。楽しいときに楽しい顔をする、本来のロックが持つメッセージを伝えていきたい」と言うかしわ。アフリカ・コンゴの車椅子バンド「Staff Benda Bilili」とも一昨年の来日時に共演した彼らは、「日本で初めてロックンロールを仕事にしている福祉事業所」で、過去に4枚のCDを発表し、現在も全国ツアーの真っ最中だ。この日、バンドの一員として参加した東は「冗談で『目指せ紅白』と話している」と笑っていたが、見る者を自然と笑顔にさせる彼らのヴァイブは、お世辞抜きに国民的祭典を彩るにふさわしいパワーを持っていた。


かしわ哲

わざわざ言うまでもなく、すべての人は他人とは違う何かを持っているものである。他者から自分にはない何かを感じたり、自分とは違うはずの人が同じことを考えていたり、そうしたことで人は惹かれ合うのではないだろうか。現に東やかしわの姿を見ていると、支援活動という面よりも、「違い」という魅力を持つ仲間たちと、ただ単に楽しいことをやっているような印象すら受ける。イベントの見どころについて、「『ごちゃ混ぜ』を感じに来てください」と語った東。世の中には「違い」を持つことで苦しんでいる人も多くいるとは思うが、「違い」を受け入れるだけで世界はこんなにも楽しくなる。『Get in touch!』という祭典は、「違い」という才能を楽しめることはもちろん、そうした価値観を改めて教えてくれるイベントではないだろうか。

 

CINRA.NETより引用
http://www.cinra.net/review/20121206_art_getintouch.php